Nature(11June 2008号)より

Swiss court bans work on macaque brains
Universities appeal against ruling on animals' dignity
-スイスの裁判所がマカクザルの脳研究を禁止-
大学は動物の尊厳に関する判決に対して控訴


 2008年6月11日のNatureに以下の動物福祉に関する話題が掲載されました。

【要約】
 チューリッヒにある2つの大きな研究所は、下級裁判所が下したサル研究禁止の決定に対して、スイス最高裁判所に公訴しています。この禁止の決定は、スイスにおける動物を使用しているすべての基礎研究を脅かすものだと言っています。
 今回問題になっている研究は、知覚学習時の大脳皮質の変化をモニターする研究で、サルが新しい課題を達成したときに与えるリンゴジュースの報酬価値を増すため、最大12時間サルに飲み水を与ないという研究、もう一つはサルを淘汰した後に、大脳皮質の微少回路を顕微鏡下で調べる研究の2つ。これらの研究は2006年に承認された研究であるが、外部の評価機関が申請されたこれらの実験は、動物の尊厳を傷つけるものと主張し異議を唱え、地元の裁判所がこれらの研究に対抗する決定を下しました。2004年に"生物の尊厳"に関する事項がスイスの法令に導入されているからです。裁判所は尊厳にまでは言及してはいませんが、承認された研究には有用性がありそうもないと社会が判断しているためです。また動物への負担は正当化されないとも判断しています。
 "裁判所は新しい法解釈をしている""法律の要求は過ぎていて、最高裁判所の決定に異議を唱えるほか選択肢はない。"と、今回問題になっている研究所は述べています。



詳細は以下のHPをご覧ください。
  http://www.nature.com/news/2008/080611/full/453833a.html




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